看護学校を卒業して、宇都宮市でAGA治療を受けながら総合病院に勤めていたとき、姫路のある病院の労務問題に直面しました。
実際に看護師になって思ったことは、学生の時に抱いていた看護師に対するイメージとははるかに違ったものでした。
やりがいや人生の楽しみみたいなものも特に見つけられておらず、「看護師になれたのだから、看護師の仕事をしっかりと務められるようになろう」 と、それだけを意識していました。
私が通っていた看護学校では、実習が少ない方で、正直私は看護師になるまで採血や注射一本打ったことがありませんでした。
しかし、現場では問答無用でした。仕事中では先輩の看護師からは注射をしてくるようにどんどん指示されます。「やったことがない」と答えると丁寧に教えてくれましたが、人の身体に針を刺すわけですから、慣れるまで手が震えました。もちろん、1回でできるようになるわけがありません。それなのにもかかわらず、2回目からは「この前教えたよね?何でできないの?」などの高圧的な口調で怒られます。
研修期間も1週間ほどしかなく、その1週間もとても過酷なスケジュールでした。
1週間はかなり時間が短く、覚えられたこともたかが知れてるぐらいでした。それなのに先輩からは「覚えが悪い」「できの悪い新人」など毎日罵られました。
しかし、人の命と向き合う仕事である以上、「自分が頑張らなきゃいけない」という気持ちが、どんどん強まっていきました。
また、総合病院の看護師の仕事はまさに、「生と死に向き合う」ことでもありました。
その日元気に挨拶を交わした患者さんが、次の日には亡くなっていたことも幾度とありました。
悲しむ間もなく、次から次へと患者さんの処置と、そしてまだ覚えきれていない業務への予習、復習に追われる日々でした。
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