私は以前、明らかにブラック企業と言える過酷な労働環境の会社で、約2年ほど働いていた経験があります。
その会社は、工場の工作機械の組み立てを請け負う、社員数100人に満たない小さな会社だったのですが、何が「ブラック」だったのかと言いますと、その過酷な長時間労働とサービス残業の多さです。
その会社は、元請けの会社から求められる仕事が、どんなに無茶な内容であっても全て鵜呑みにしてしまう会社でした。
そしてその無茶な内容の仕事を、全て社員に丸投げしていました。
当然、そのような仕事の請け方をされれば、「納期がとても間に合わない」「社員のスキルでは熟しきれない」「仕事の量が明らかにキャパシティをオーバーしている」といった事が発生し、必然的に社員の労務が過酷なものとなります。
また、身の丈に合わない仕事ばかりを請け負うため、能率を上げることができない上、会社のイメージが「どんな無茶な要求でも飲む会社」になってしまっているため、無茶な仕事ばかりが回ってきます。
その会社は、そんな「悪循環」に完全に陥っており、社員に無茶な労務を押し付ける事で、無理やりに会社を回していました。
休日出勤や徹夜は当たり前、酷い時には、2日・3日泊まり込みです。
私が働いていた中で一番酷かった時は、少なくとも1週間はかかる工数の労務を、3日間不眠・不休で押し付けられたことがあります。
しかも、恐ろしい事にその会社は、その過酷な労働時間を「社員の自己判断によるもの」として扱っており、残業時間や休日出勤の大半が「サービス残業」になっていました。
つまり、それだけ過酷な労働を強いられても、給料がまともにつかないのです。
傍から見ると、「何故そのような割に合わない過酷な仕事を、2年間も続けていたのか?」と思われるかもしれませんが、あまりに過酷な労働環境に身を置いているため、余裕が無くて他の仕事を探す事さえできなかったのです。
そのため、「次の仕事が決まっていない」という不安感から、思い切って辞める事も出来ない心理状態でした。
今思えば、もっと早い段階で労務専門の弁護士に相談して、思い切って辞めてしまうべきだったと思いますが、当時は「次の仕事が決まっていない」という不安感の方が強く、辞める勇気がありませんでした。
しかし、もしも同じような労働環境に身を置く人がいたら、今の私なら「今すぐ辞めるべきだ!」と、強く言ってあげたいと思います。
そんな会社で働いていても、得られるものは僅かな賃金だけですから・・。
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